なか日記

一度きりの人生、楽しく生きよう。

『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』 今野 晴貴

数年前からこの本のことは知っていたが、自分にはあまり縁のない話なので手にとってなかった。今回、読んでみようと思ったのは、大人のための読書の全技術 (中経出版)で紹介されていたのに加えて、Amazonマーケットプレイスで「1円+送料257円」のお手頃価格*1で売っていたからだろうか。

後で考えると、ちょっと身近な人*2が苦労しているのを聞いてたので、それが心に引っかかってたのかも知れない。

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪 (文春新書)

目次

【第Ⅰ部 個人的被害としてのブラック企業】
 第1章 ブラック企業の実体
 第2章 若者を死に至らしめるブラック企業
 第3章 ブラック企業のパターンと見分け方
 第4章 ブラック企業の辞めさせる「技術」
 第5章 ブラック企業から身を守る
【第Ⅱ部 社会問題としてのブラック企業】
 第6章 ブラック企業が日本を食い潰す
 第7章 日本型雇用が生み出したブラック企業の構造
 第8章 ブラック企業への社会的対策

構成

第Ⅰ部では複数の事例を紹介すると共にブラック企業の行為をパターン化し、個人としてどう判断、対処していくのが良いかが書かれている。主に新卒の扱いについてフォーカスされているが、当然それ以外の社員にも当てはまることは多いだろう。

第Ⅱ部ではブラック企業が社会に及ぼす影響やブラック企業が生まれる原因などについて書かれている。原因の一つとして、日本の年功序列、終身雇用という制度にも触れられている。

あ、これくらいのことなら目次を見れば何となく想像つくね。

感想みたいなの

第Ⅰ部を読んでいて、ブラック企業の巧妙さに閉口した。ブラック企業といえど、中にいるのは一人一人の人間であるのにどうしてここまで倫理に反したことができるのか。社員を「人」として見ることができなくなっているのかも知れない。社員のことを考え、涙を流す経営者もいるのに、この違いはいったい何なんだろう?

ブラック企業なんて自分にはあまり関係ないと感じていたが、以外とそうでもなかった。ブラック企業によって使い捨てられた人達への社会保障(各種保険や生活保護など)は自分たちが出している保険料や税金が使われる訳だし、低賃金で「将来に希望が持てない、結婚・子育てなんて到底無理」と考える人が増えればその分、少子高齢化は一段と加速するわけで日本社会全体にとってマイナスとなる。

この本は外側から自分の会社を客観的に見るきっかけになる本だ。ブラック企業の中にいると、それが当たり前になっていて自分の会社がブラックだという認識がなくなっているかもしれない。本書に書かれている豊富な事例や行為を自社に照らし合わせることで、「あれ、うちの会社ってブラック?」と気づく人も出てくるのではないか。

心身を摩耗してしまう前に気づき、対策を打ち、心身共に健康で人として有意義な人生を送って欲しい。

*1:ブックオフの100円コーナーより高いけど

*2:呑み仲間